手作りごはん

犬の手作りごはんを作るときの大事な注意点について解説します

犬の手作りご飯の注意点

お悩み読者
犬の手作りごはんに興味があります。ただ犬の健康面で不安があります。犬に手作りごはんを与える上で気を付けることなどあれば教えてください。

こんなお悩みを解決します。

本記事の信頼性

この記事を書いている私は、20年以上犬と生活しており、

現在もジャックラッセルテリアのなっつと暮らしています。

また犬の管理栄養士の資格も取得しており、毎回栄養計算を行いながら

手作りごはんを作っております。

本記事の内容

犬の手作りごはんを作るときの注意点 5選

2003年に欧州の研究チームが、522頭を対象に調査を行い、

市販のドッグフードだけを食べていた犬の平均寿命が10.4歳

ドッグフードに手作りごはんをトッピングしてあげていた子の平均寿命は11.9歳、

手作りごはんだけをあげている犬の平均寿命は13.1歳だったと発表しています。

しかし犬に手作りごはんを与える場合は、

しっかりと注意点を守らないと健康を害してしまう恐れがあります。

犬に手作りごはんを作るときの注意点

①食材選び

犬の手作りごはんを作る食材選び

犬に手作りごはんをあげる上で最も注意する必要があるのは、食材選びです。

まずは犬が食べてはいけないものを把握しあたえる事が絶対にないようにしましょう。

また野菜や大豆製品などは1種類につき1日に必要なカロリー量の10〜20%以内に収まる量ににすることが理想です。

特定の食材を過剰にあげるとアレルギー症状を起こす可能性があるからです。

注意

【犬にあげてはいけない食べ物】

・ネギ類
→下痢、嘔吐、血尿の可能性があります。

・生卵の白身
→生の白身はビタミンのビオチンの吸収を阻害するため、大量摂取は成長不良や、皮膚炎の危険性があります。

・チョコレート
→嘔吐、下痢、痙攣、心不全を起こす可能性があります。

・キシリトール
→血糖値の低下、嘔吐などを起こす可能性があります。
ガム1粒でも死んでしまう場合もあります。

・アルコール
犬はアルコールを分解する機能がないため、最悪しに至ります

・ぶどう、干しぶどう
→急性心不全を起こす可能性があります。

・肉や魚の骨
→喉や胃、腸などに刺さり、傷つける恐れがあります。

・香辛料
→下痢や嘔吐の可能性があります。

・アボカド
→下痢、嘔吐、呼吸困難を起こす可能性があります。

・マカダミアナッツ
→嘔吐、ふらつきなどの症状を起こす可能性があります。

・加工食品
→塩分が多く含まれており、塩分の過剰摂取は心臓や腎臓に負担をかけます。

・コーヒー紅茶などのカフェイン
→中毒症状を起こし最悪死ぬ場合もあります。

ポイント

【犬に与えた方が良いおすすめの食べ物】

・亜麻仁油

→犬にとって必須脂肪酸であるαリノレン酸が含まれています。

・納豆

→納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素は血液の健康をサポートする効果があります。

・ヨーグルト

→腸内環境を良くする乳酸菌が多く含まれています。無糖タイプのものをあげましょう。

・ごま

→リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸が含まれており、免疫力を高める効果があります。

ごまの殻は消化しづらいので、すりごまがおすすめです。

②栄養バランス

犬の手作りごはん

犬に手作りごはんのみをあげていると、栄養バランスが崩れる危険性があります。

総合栄養食と分類されるドッグフード は、水とドッグフードを与えるだけで健康維持に必要な栄養バランスを満たすことができます。

また総合栄養食と表記できるものは、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、栄養基準を満たしたもののみとなります。

また分析試験による栄養基準はA A F C O(アフコ)と呼ばれる全米飼料検査官協会の栄養基準を採用しています。

A A F C Oの栄養基準は下記の通りです。
※犬の成犬時の栄養基準(代謝エネルギー1000kcalあたり)

栄養素 100kcal/ME 最小値 最大値
粗タンパク質 g 45.0
アルギニン g 1.28
ヒスチジン g 0.48
イソロイシン g 0.95
ロイシン g 1.70
リジン g 1.58
メチオニン g 0.83
メチオニン+シスチン g 1.63
フェニルアラニン g 1.13
フェニルアラニン+チロシン g 1.85
トレオニン g 1.20
トリプトファン g 0.40
バリン g 1.23
粗脂肪 g 13.8
リノール酸 g 2.8
n-6:n-3比 30:1
カルシウム g 1.25 6.25
リン g 1.00 4.0
カルシウム:リン比 g 1:1 2:1
カリウム g 1.5
ナトリウム g 0.20
塩素 g 0.30
マグネシウム g 0.15
mg 10
mg 1.83
マンガン mg 1.25
亜鉛 mg 20
ヨウ素 mg 0.25 2.75
セレン mg 0.08 0.5
ビタミンA IU 1250 62500
ビタミンD IU 125 750
ビタミンE IU 12.5
チアミン mg 0.56
リボフラミン mg 1.3
パントテン酸 mg 3.0
ナイアシン mg 3.4
ピリドキシン mg 0.38
葉酸 mg 0.054
ビタミンB12 mg 0.007
コリン mg 340

n-6はリノール酸+アラキドン酸、n-3はa-リノレン酸+エイコサペンタエン酸+ドコサヘキサエン酸

愛犬の必要な栄養素の量が知りたい場合は、下記サイトでの計算がおすすめです。

また手作りご飯をあげる場合、

・必須脂肪酸
・カルシウムおよびカルシウム:リン比1:1
・亜鉛
・銅
・ビタミンE
・食物繊維

が不足しやすいので特に注意が必要です。

必須脂肪酸

脂肪の過剰摂取は肥満に繋がる可能性があるため、脂肪分の低い食材を使用する方が多いでが、

脂肪は体のエネルギーとして使われたり、血液やホルモンの材料になります。

また脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収にも必要な栄養素で皮膚や被毛の健康にも関わります。

犬は多価不飽和脂肪酸が必須脂肪酸になっています。

多価不飽和脂肪酸はn-3系不飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸に分かれており、種類は下記の通りです。

aリノレン酸【n-3系不飽和脂肪酸】

おもな効果

・血流改善効果
・アレルギー抑制効果
・老化予防効果

多く含む食材

・亜麻仁油
・エゴマ油
・しそ油
・しそ
・ほうれん草
・くるみ

DHA【n-3系不飽和脂肪酸】

おもな効果

・血流改善効果

・視界を回復する効果

・アレルギー予防効果

多く含む食材

・いわし、さば、あじ、さんま、かつおなどの青魚

・うなぎ

・なす

EPA【n-3系不飽和脂肪酸】

おもな効果

・生活習慣病の予防、改善効果
・炎症抑制効果
・精神安定効果

多く含む食材

・いわし、さば、あじ、さんま、かつおなど青魚

リノール酸【n-6系脂肪酸】

おもな効果

・血中コレステロールを低下させる効果

・心臓病の予防効果

多く含む食材

・コーン油

・綿実油

・大豆油

Rリノレン酸【n-6系脂肪酸】

おもな効果

・生活習慣病の予防効果
・皮膚炎に対する効果

多く含む食材

・カシス種子油

・月見草油

・母乳

・ボラージオイル

・くじら

アラキドン酸

おもな効果

・コレステロール値を下げる効果

・高血圧予防効果

多く含む食材

・肉類

・魚類

・レバー

・卵など動物性食品

脂肪源は犬が1日に必要なエネルギー量のうちの5〜15%を目安に与えましょう。
亜麻仁油やエゴマ油などの良質な油をごはんの上にたらして与えることが好ましいです。

カルシウムおよびカルシウム:リン比1:1

手作りごはんを作る時に一番苦戦するのが、カルシウム:リンの比率です。

長期間のリンの過剰摂取はカルシウムの吸収を阻害し、骨が弱くなったり、腎臓に負担がかかります。

手作りごはんを作る場合はこの比率に注意が必要です。

理想はカルシウム:リン=1:1とされています。

1:0.5〜2までは許容範囲とされる報告もあるようです。

ですが犬に必要な肉などのタンパク源はリンガ多く含まれているため、

手作りごはんを作るな場合はリンが多くなってしまうことがほとんどです。

またカルシウムの多い食材で補おうとしてもリンも含まれている食材が大半です。

下記がカルシウムが含まれる食材のカルシウムとリンの含有量です。

食材 カルシウム リン
プロセスチーズ 630mg 730mg
ひじき(乾) 1400mg 100mg
いりごま 1200mg 560mg
刻み昆布 940mg 300mg
しらす 520mg 860mg
切り干し大根 540mg 210mg
木綿豆腐 120mg 110mg
焼き豆腐 150mg 110mg

※100gあたりの含有量です

一見、ひじきや切り干し大根を好んで使えば、ちょうど良い比率になるのでは?と思いますが、犬の手作りごはんを作る際に必要なタンパク質源の食材のカルシウム:リン比率も見てみましょう。

食材 カルシウム リン
鶏ささみ肉 3mg 220mg
鶏むね肉 4mg 200mg
豚もも肉 4mg 200mg
豚肩ロース肉 4mg 160mg
牛肉もも 4mg 180mg
さば 9mg 230mg
マグロ 5mg 270mg

※100gあたりの含有量です

このようにメインのタンパク質源を使うと自然とリンの摂取量が多くなり、
比率を調節するためにカルシウムの多い切り干し大根や、ひじきを使おうとしても、かなりの量が必要になり他の栄養素の過剰摂取にもつながってしまうので、市販の食材だけで賄うのは難しいのです。
手作りごはんを作る際には、卵殻パウダーを利用すると、この比率の調整が楽なので活用することをお勧めします。

下記が卵殻パウダーの成分です。カルシウムの含有量が多いので、少量で比率の調整が可能です。

食材 カルシウム リン
卵殻パウダー 34200mg 150mg

※100gあたりの含有量です

 

亜鉛

亜鉛は主に骨格筋・骨・皮膚・肝臓・脳・腎臓などにある成分で、被毛や粘膜の健康維持を助ける重要な栄養素です。

犬は人間よりも亜鉛の要求量が多いため、手作りご飯を作る際は不足しやすいので、注意しましょう。

亜鉛を多く含む食材

食材 亜鉛の含有量
さんま 0.8mg
煮干し 7.2mg
牛肩ロース 5.6mg
牛レバー 3.8mg
鶏レバー 3.3mg
鶏もも肉 1.6mg
豚ロース 1.6mg
1.3mg
納豆 1.9mg
木綿豆腐 0.6mg

※100gあたりの含有量です

ペット栄養学会誌では、手作りごはんで銅が不足しやすいと栄養素だと指摘されています。

銅が欠乏すると貧血、食欲不振、成長の遅延などがあります。

意識的に銅が多く含まれる食品を使って調理しましょう。

銅を多く含む食材

食材 銅の含有量
レバー 5.3mg
納豆 0.61mg
大豆 0.51mg
ごま 1.68mg
干しエビ 5.17mg

※100gあたりの含有量です

 

ビタミンE

銅と同様にペット栄養学会誌では、手作りごはんで銅が不足しやすいと栄養素だと指摘しています。

ビタミンEが不足すると皮膚障害などの原因となりますので、気をつけましょう。

ビタミンEを多く含む食材

食材 ビタミンE含有量
アーモンド油 29.8mg
うなぎ 4.9mg
ひまわり油 39.0mg
かぼちゃ 4.9mg
赤ピーマン 4.3mg

※100gあたりの含有量です

食物繊維

犬は本来、野菜などの食物繊維の消化は得意ではありません。

ですが腸内環境正常化が健康維持に繋がるという研究が進んでおり、一定の食物繊維は必要であるとされています。

手作りごはんを作る手順として、

適性のタンパク質量の計算→1日のカロリーの0.5〜1.5%の脂質、残りのカロリーを補う炭水化物の計算をします。

上記3つの総重量の5%以下の食物繊維を取るように作りましょう。

食物繊維を多く含む食材

食材 含有量
そば 2.7g
スパゲティ 1.5g
玄米 3g
おから 12g
大豆 17.1g
ごぼう 5.7g
ブロッコリー 4.4g
オクラ 5g
エリンギ 4.3g
干し椎茸 41g
ひじき 43.3g

※100gあたりの含有量です

調理方法

犬の手作りごはんの調理方法

主に調理方法として、

茹でる

焼く

煮る

の4種類があると思いますが、

焼く調理法と、生の調理法には注意が必要です。

焼いて調理する場合火加減に注意して、食材を焦がしてしまうことがないようにしましょう。

焦げは発がん物質であるアクリルアミドを発生させる原因になります。

アクリルアミドにより発がん作用は動物実験でも証明されており、

調理する際は煮たり、茹でたりする調理法の方が好ましいです。

生で与える場合も注意が必要です。

犬は野菜などの食物繊維は消化が不得意です。

生で与えるより、茹でてあげた方が好ましいです。

また魚なども生で与えた場合、アニサキスなどの寄生虫の感染や、サルモネラなどの食中毒の原因になります。

生の肉はサルモネラやカンピロバクターなどの食中毒のリスクがあります。

できるだけ加熱して与えると良いでしょう。

味つけ

犬の手作りごはんの味付け

犬は人間と違いたくさん汗をかくことができないため、塩分がうまく排出させることができません。

ですので、人間と同様の味付けをしてはいけません。

しかし塩分に含まれるナトリウムは体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持する効果や、栄養の吸収、輸送などにも関わっています。

手作りごはんは味付けはダメと記載されている記事も多くありますが、適量の塩分は必要です。

東京大学大学院の林教授は「ペットの健康と食塩」という論文で、成犬で体重1キロ当たり1日0.242gの塩分が必要と発表しています。

ドッグフードの場合は塩分不足を心配する必要はありませんが、

手作りごはんの場合は、体重5kgの犬には塩1gまたは味噌20g程度を入れて作るのが好ましいです。

塩分不足の犬が見せる症状

・食欲不振

・土や石を舐める

・排尿後の陰部を舐める、オシッコを舐める

また糖分は犬にとっては必須ではありません。

ですが犬は甘みを感じることができ、甘い味を好みます。

犬用のおやつ(ボーロ)などは甘みがあるので、手作りごはんで砂糖などの使用はやめましょう。

さつまいもやカボチャなどの糖分を多く含む野菜やフルーツも肥満の原因になるので、与えすぎには注意が必要です。

また人工甘味料が入っている物は与えてはいけません。

子犬

子犬にあげる手作りごはん

子犬に手作りごはんをあげるのは注意が必要です。

一般的には成犬時の50%の体重とされる5ヶ月ごろから手作りごはんを与えても問題ないと言われています。
ただ子犬の頃から完全に手づくりごはんに変えてしまうのは、あまりおすすめしません。

理由は栄養面です。

子犬の栄養不足は今後の成長に大きな影響を与えてしまします。
栄養不足の状態が続いてしまうと、発育不足や病気になりやすい子に育ってしまいます。

また栄養不足を心配して、ごはんをたくさん与えてしまっても肥満の恐れがあります。
成長途中の子犬の肥満は、病気のリスクも高まりますが、関節などの骨にも負担がかかってしまいます。

子犬の場合は5ヶ月目くらいからドッグフード にトッピング程度にあげると良いでしょう。

【まとめ】

今回は犬に手作りごはんをあげる時の注意点についてお話ししました。

手作りごはんを作るときは、

・食材

・栄養素

・栄養バランス

に気をつけましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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